大阪府中小企業団体中央会では、去る11月8日(金)、マイドームおおさかにて、「資金繰り・価格転嫁対策」をテーマに、中小企業診断士の間部 勝 氏と、中小企業診断士 吉松 敏男 氏をお招きし、講習会を開催致しました。
まず初めに資金繰り対策セミナーとして、間部氏が講義されました。ゼロゼロ融資の返済開始により中小企業の資金繰りが悪化し、円安による仕入れコストの増加も影響して企業倒産の増加傾向がみられる。この状況に対応するため、「経営改善サポート資金」や「経営力強化資金」など新たな融資施策が導入された。金融機関の選択にあたっては信用金庫、地方銀行、メガバンクの特性を理解し、適切な取引を行うことが推奨される。また、経営改善計画の策定は資金調達や補助金申請に役立つ。経営者には資産の現金化や費用削減などで資金繰り安定を図ることが求められていることなどが説明されました。
続いて、価格転嫁対策セミナーとして、吉松氏が講義されました。2024年3月の中小企業庁調査によると、価格交渉は進展しているが、価格転嫁率は46.1%で、転嫁の成否で二極化が進んでいる。労務費転嫁を推進するため、政府はガイドラインを示し、下請企業に価格交渉や相談窓口の活用を推奨している。適切な原価計算を基に価格交渉を行い、親事業者が支払サイトを60日以内とするよう注意喚起も行われている。交渉では自社の強みを確認することが重要で、結果的に受注量が減少することにも注意が必要である。また交渉事例についても検証し、市場変動を注視した交渉が成功した事例について説明されました。
本セミナーを通じて、中小企業・小規模事業者が資金繰りと価格転嫁を円滑に行い、経営の安定に向けた実践的な対策を学ぶ貴重な機会となりました。
講義の様子